③昼間は充電・電気料金が安いって本当ですか?
再エネ比率が高いときは、一般に電力の供給余力が需要を上回るので、電力卸売市場(JEPX)で取引される価格は下がります。従って、昼間は夜間より、安く充電が可能となります。
また、電力小売会社は電力卸売市場(JEPX)から調達して、それに託送料金などの費用や利潤を付加して電気料金メニューとするので、一般的には昼の時間帯の電気料金が安くなる方向にあります。
最近では、卸売り価格に連動した料金を設定する小売会社も現れています。
ただし、現時点では全ての場合で、昼間の卸売価格が安くはなっていないことに留意が必要です。
例えば、電力卸売り市場では、再エネ比率が高くても、それ以上に需要が増加したり、原子力発電所の稼働が停止している場合などには、需給が逼迫し、電気料金が高くなる場合があります。
以下は、東京電力管内の毎月の平均卸売価格と炭素強度の関連性を分析したグラフです。概ね、昼間の卸売価格のほうが夜間よりも安い傾向にありますが、8月など夏季においては、深夜のほうが昼間より安い状況にあります。
これは、東京電力管内においては、現在原子力発電所が稼働していないこと、九州や関西ほど再エネ導入が進んでいないこと、産業用・業務用の比率が他の地域よりも高いため、昼間の需要が大きいことなどが複合的に影響していると考えられます。
これを図解すると以下のようになります。
また、小売市場でも以下のような理由で、必ずしも昼間が安くなっていない状況があります。
①市場連動型にすると極端に高い電気料金を顧客に課すことへの批判があるため、いつ使っても同じ料金とするケースが多い。
➁原子力発電を大量に直接購入する長期契約を結んでいる場合などは夜間の調達費用が高くなったり、それを前提としたオール電化を推奨してきた経緯があり、特に旧一般電気事業者といわれる昔からの電力会社を中心に、深夜の単価を安く、昼間の単価を高く設定する深夜電気料金メニューを提供している。
③新電力といわれる新規参入の電力会社でも、顧客確保のために、深夜を安くしたり、夜間に使い放題にしたりする料金メニューを提供している。
昨今の電気料金の高騰でEVユーザーの方にしてみれば、少しでも充電費用を節約したいというのは当然の考え方です。
皆さまが、痛みを伴うような余計な出費をしてまで無理やり昼にタイムシフトしてほしいと私たちは思ってはいません。
従いまして、皆様のライフスタイルに合わせて、ご無理のない範囲内で、昼充電にご協力いただければと思います。
長期的に見ますと、政府は、昼間の方がエコでお得になるような電気料金の導入の義務付けを検討するなど、持続的な電力システムや脱炭素政策との整合性確保への動きが進んでいます。
こうした動きの中で、私たちの活動が、反対論も含めて国民的な議論が活発化する一助になればと思っています。
>EV昼充電推進プロジェクトとは(全体概要)