#40 地域の脱炭素・低炭素への取り組みを
クラウドファンディング等で支援

29 個人のESG投資<地域脱炭素ロードマップ:ゼロカーボンアクション30> 

CLOUD FUNDING

地域の脱炭素・低炭素への取り組みをクラウドファンディング等で支援する。

ゼロカーボン農業などに、先駆的に取り組んでいる人々を応援するなどして、CO2を削減することも可能です。地域に調和した分散型再生可能エネルギー発電所を建設する個人やNGOなどの地域の脱炭素・低炭素への取り組みをクラウドファンディング等で支援してもよいかもしれません。

その中でも、新しい農業支援の形をご紹介します。それは、Community Supported Agriculture(CSA「地域支援型農業」)と呼ばれ世界中で注目を集めている、新しい農業支援の形です。地域の農業を消費者と農家が、リスクを分かち合ってお互いに支え合う仕組みとも訳されます。

一般社団法人ナッジ推進協議会(NPC)は現在に合った様々な形のCSAの在り方を、CSAや有機農業の第一人者である、波夛野豪三重大学名誉教授のアドバイスを受けながら研究し、ナッジを活用したその普及に努めています。

波夛野教授は、著書「分かち合う農業CSA 日欧米の取り組みから」の中でCSAを「生産者と消費者がコミュニティを形成しながら有機農業を支える方法」と定義している。「消費者が生産者と一緒に生産のリスクを共有するだけでなく、みずから野菜の栽培、仕分け、引き取りなどに参加する例も多い」とのことです

NPCでは、循環型経済・社会へのパラダイムシフトが世界的に起きているなかで、その先駆的な取り組みが広く普及・拡大する可能性があると考えています。

CSAには様々な類型がありますが、例えば、「農家と消費者が1年間の農産物の売買契約を結び、消費者は農家に1年分を前払いする。その代わりに、農家は毎月定期的に季節の野菜セットを届ける。」のが典型例です。

NPCが運営する脱炭素に挑戦する農家の商品を販売するサイトーつなぐ市場に参加している、きりり農園(東京都・瑞穂町)もその一つです。きりり農園では、サポーター会員が年額数万円を前払いして、獲れた分をもらいます。規格品だけでなく、市場でははじかれ、捨てられてしまうB品と呼ばれる規格外の野菜も、きりり農園とサポーターの信頼関係の中で、有効に活用されています。

きりり農園のCSAを知りたい方は、つなぐ市場できりり農園の記事をぜひご覧ください。

きりり農園の記事を読む。ゼロCO2彩りじゃがいもをECで買う。太陽光で育てた無農薬有機ブルーベリーの収穫体験にEV(電気自動車)で行くツアーに参加する。

 

海外の状況

CSAはアメリカで 1980 年代に最初 に始まったとされ、現在では欧米を中心に世界的な拡がりをみせています。フランスでも、2001年からAMAP(Une association pour le maintien d’une agriculture paysanne)という仕組みが発達し、パリなどの大都市で市民から人気を博しています、農家の数が限られる中、消費者が順番待ちになっているという記事もあります。

循環型経済・社会へのパラダイムシフトの中で、日本でも様々な方々が尽力しCSAが徐々に普及・浸透しつつあります。農研機構がCSA(地域支援型農業)導入の手引き)にいくつかの事例が掲載されています。

農林水産省が発行した、「農」を支える多様な連携軸の構築でも大きく紹介され、農林水産政策研究所は事例調査にみるCSAと農業・農村の機能・価値との関係性を出版しています。

 

 

GREEN & FOOD

緑の食料システム戦略

緑の食料システム戦略は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを目的としています。

緑の食料システム戦略
我が国の食料・農林水産業は、大規模自然災害・地球温暖化、生産者の減少等の生産基盤の脆弱化・地域コミュニティの衰退、新型コロナを契機とした生産・消費の変化などの政策課題に直面しており、将来にわたって食料の安定供給を図るためには、災害や温暖化に強く、生産者の減少やポストコロナも見据えた農林水産行政を推進していく必要があります。 このような中、健康な食生活や持続的な生産・消費の活発化やESG投資市場の拡大に加え、諸外国でも環境や健康に関する戦略を策定するなどの動きが見られます。今後、このようなSDGsや環境を重視する国内外の動きが加速していくと見込まれる中、我が国の食料・農林水産業においてもこれらに的確に対応し、持続可能な食料システムを構築することが急務となっています。 このため、農林水産省では、「みどりの食料システム戦略」を策定しました。