#38 脱炭素型(CO2排出ゼロ)の
一次産品(農産物など)を購入

28  脱炭素型の製品・サービスの選択<地域脱炭素ロードマップ:ゼロカーボンアクション30> 

ETHICAL GOODS

脱炭素型(CO2排出ゼロ)の一次産品(農産物など)を購入

全国で、先駆者たちがCO2を極力排出しない、食品・加工品の製造・販売に挑戦しています。つなぐ市場では、農家や漁師のみならず、こうした事業者のチャレンジを紹介して、にその商品を販売して、フィードバックを得る社会実験を実施しています。脱炭素型(CO2排出ゼロ)の食品・加工品を購入してみてはいかがでしょうか。

ここでは、2つの例を紹介します。

まず初めに、奥能登で「揚げ浜式製塩法」の伝統を守りながら、塩や塩サイダーなどの加工品を販売しているDENENの取組みです。DENENは環境にも配慮を尽くし、自然エネルギーを使いエネルギー由来のCO2を極力排出しない厳格な方針を貫いています。

森を守る:間伐材を使用:

釜炊きを行う際に使う薪は、能登の里山から切り出される間伐材のみを使用しています。

間伐材を率先して使うことで、山の整備に貢献し、森を守る一翼を担っています。そして、化石燃料や廃材を燃料として一切使わないことで大気汚染にも配慮し、実質地球上のCO2濃度を増やさないという「カーボンニュートラル」の考え方に沿った取り組みにも着手しています。

海を守る:海洋汚染と向き合う:

世界中で問題になっている「マイクロプラスチック」による海洋汚染に真摯に取り組み、海水を汲み上げる際にあらゆる固形物を特殊なフィルターで除去しています。そして、定期的に海岸清掃も行い、ゴミを少しでも減らしていく取り組みを行っています。

また、塩田からでる生活排水(トイレ・シンク)の設備は、汲み取り式を採用しており、汚水が一切海に流れ出さないようにしています。

つなぐ市場でDENENの記事を読む。

もう一つ、天然雪を使った保存庫「雪室」を利用して豚肉やコーヒーを製造・加工・販売する越後雪室屋をご紹介します。雪室は、雪の力で冷やした天然の冷蔵庫で食品を保存する、雪国古来の知恵です。室内は温度0℃・湿度90%以上の一定した環境で、電気振動がなく光や乾燥による食品への影響が少ないため、鮮度を保ち美味しさを向上すると言われています。

米や野菜はでんぷん糖化で甘くなり、肉はドリップが少ない良質な熟成肉に。また酒や珈琲などは熟成時に発生する不快臭(アルデヒド類)が雪の力で抑えられ、まろやかに変化することが研究で立証されています。

脱炭素時代に向けてエネルギー由来のCO2を排出しない雪の利用でさらに付加価値の向上が期待されます。また、雪という自然エネルギーの再利用という意味で、再生可能エネルギーのリユースとも言われています。

つなぐ市場で越後雪室屋の記事を読む。

ロードマップ:地域再エネや地域産品を通じた都市住民と地域の絆づくり【環境省】(p22)
地域再エネや地域産品の消費や寄付等を通じて、都市住民が地域脱炭素に貢献するとともに、地域と交流し絆を強める取組に対してインセンティブを付与する以下のような自治体や事業者の取組について、モデル実証等を通じて横展開を図る。

NUDGE 

環境白書より ナッジを活用した行動変容

令和3年度の環境白書は、ナッジを活用してCO2排出量実質ゼロの野菜の販売を促進する電力シェアリング社の取り組みを紹介しています。

ここでは、一般社団法人ナッジ推進協議会(NPC)が発行する&Greenシールが活用されています。栽培時になるべくCO2を出さない、低炭素型野菜の取組は全国各地の農家で進められています。つなぐ市場を運営するNPCは&Greenシールの発行を通じてその取り組みを応援しています。

令和3年版環境白書(p37)

ナッジ(nudge:そっと後押しする)とは、行動科学の知見の活用により、「人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法」です。環境への取組についても、ナッジにより人々に気づきを与えることを通じて、関心が低い人も社会課題に関心を持って自分事化し、前向きで主体的に楽しみながら、できることから一つずつ取り組むようになることが期待されます。

環境省のナッジ事業の一環として、電力シェアリングでは、生産・流通過程を含むサプライチェーン全体でCO2排出量実質ゼロの野菜を販売し、消費者の選好を2020年度から調査しています。具体的には再生可能エネルギーの利用や、J-クレジットでのオフセットにより、CO2排出量を実質ゼロにしています。

CO2排出量実質ゼロの環境に配慮した野菜であることをポップやシールで説明し、通常の野菜と並べて横浜市の農家の直売所やインターネットで販売したところ、売上額の約3割を占めました。

ROADMAP

脱炭素ロードマップの重点対策:「農林水産業のCO2ゼロエミッション化」

重点対策⑧ 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立
調達、生産、加工・流通、消費のサプライチェーン全体において、環境負荷軽減や地域資源の最大活用、労働生産性の向上を図り、持続可能な食料システムを構築する。
・持続可能な資材やエネルギーの調達(営農型太陽光発電、バイオマス・小水力発電、地産地消型バイオガス発電施設の導入等)
・地域の未利用資源の一層の活用(園芸施設における産業廃熱・CO2の利用、バイオ炭の農地施用、堆肥の広域流通等)
・持続的生産体系への転換(ドローンによるピンポイント農薬・肥料散布の普及、農機のシェアリングや農業支援サービスの育成・普及、有機農業の推進等)
・持続可能な加工・流通システムの確立(商品・物流情報データの共有・連携、余剰・未利用農産物の再利用)
・環境にやさしい持続可能な消費の拡大や食育の推進(見た目重視から持続性重視への転換、消費者と生産者の交流)
・適切な間伐やエリートツリー等を活用した再造林等の森林整備
・建築物の木造化・木質化等による地域材の積極的な利用

<創意工夫例>

 堆肥の高品質化、ペレット化の促進、堆肥を用いた新たな肥料の生産、広域循環利用システムの構築、自給飼料の増産
 水田の水管理によるメタン削減(自動水管理システムの導入・中干し期間の延長)
 ハイブリッド型施設園芸設備の導入(ヒートポンプ)
 省エネ型漁船への転換(LED 集魚灯の導入)、漁船の省エネ航法の導入

<絵姿・目標>
○ 2050 年までに目指す姿として、
・ 農林水産業の CO2ゼロエミッション化
・ 園芸施設について化石燃料を使用しない施設への完全移行
・ 農林漁業の健全な発展に資する形で、我が国の再エネの導入拡大に歩調を合わせた、農山漁村における再エネの導入
・ 2040 年までに、農林業機械・漁船の電化・水素化等に関する技術を確立
○ 2050 年までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量の 30%低減
○ 2040 年までに次世代有機農業に関する技術を確立し、2050 年までに耕地面積に占める有機農業(※国際的に行われている有機農業)の取組面積の割合を 25%(100 万 ha)に拡大

<主要な政策対応> ※詳細は5(4)(6)等に記載

食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」(2021 年5月農林水産省策定)に基づき、
 2040 年までに、革新的な技術・生産体系を順次開発、2050 年までにその社会実装を実現。特に、イノベーションの創出に当たっては、現場で培われた優れた技術の横展開・持続的な改良と、将来に向けた革新的な技術・生産体系の開発を組み合わせつつ、産学官と現場が地域の実情に応じて連携して取り組む。
 補助・投融資・税・制度等の政策誘導の手法に環境の観点を盛り込むことで環境配慮の取組を促す「政策手法のグリーン化」を推進。