今注目!再生可能エネルギーで栽培された
「ゼロカーボン野菜」とは?

今注目!再生可能エネルギーで栽培された「ゼロカーボン野菜」とは?

再生可能エネルギーで栽培された農作物を、消費者はどう評価し、どう選ぶのか。そんな実証実験が始まっている。東京都府中市・調布市・狛江市を管内とするJAマインズは2020年12月〜翌年2月にかけて、JAマインズ多磨支店でCO2排出量実質ゼロの「ゼロカーボン野菜」を販売した。お客様からは好評で、期間中700以上のゼロカーボン野菜が売れたという。

農産物は、生産過程で多くのCO2を排出する

気候変動問題の解決に向けて、温室効果ガスの削減が急務となっている。消費生活のあらゆる局面で二酸化炭素排出の削減が求められているが、それは農林水産業でも例外ではない。

日本政府は、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、2021年6月に発出した地域脱炭素ロードマップの中で、2050 年までに「農林水産業の CO2ゼロエミッション化」を明確に謳った。農林水産業におけるCO2排出を丸ごとゼロエミッション化するという野心的な政策だ。

実は、農産物は消費者の口に入るまでの過程で、多くのCO2を排出する。圃場では、農機具の利用や貯蔵・空調に重油などの化石燃料を使うことが多い。自然エネルギーを活用したり、環境価値でオフセットすることで、CO2排出ゼロの農産物を増やしていく必要がある。

グリーンシールで実質CO2排出ゼロの野菜を「見える化」

そこで現在取り組まれているのが、再生可能エネルギーで栽培されている野菜の、販売実証実験だ。通常の野菜の場合、生産者が青果物を栽培する際にポンプや温熱機などの電気を利用するケースがあり、この電気は火力発電所等で発電されていて、CO2を排出していることになる。

今回実験された「ゼロカーボン野菜」は、太陽光発電システムで創出される環境価値(CO2を出さない自然エネルギーの価値)を、組合員の栽培する青果物に添加し、実質CO2フリーの野菜として販売するものである。

消費者には実質CO2フリーの野菜ということが分かりやすいように「グリーンシール」を貼り、脱炭素への貢献をアピール。付加価値を高めた野菜として販売し、消費者の選好を調査した。

ゼロカーボン野菜が好調、買い物に新たな視点を提案

この実験は2020年12月からの3ヶ月間、JAマインズ多磨支店で実施された。
CO2排出量実質ゼロの野菜を「&グリーンライセンス(グリーンシール)付き農作物」として販売。担当者がCO2を排出しない、環境に優しい再生可能エネルギーで栽培されていることを説明した。その結果、期間中全体で700以上の農産物を販売した。

また、購入者にアンケートを実施したところ、多少高くても地元のものを選びたい方が97%と、地産地消の意識が高くなっていることが分かった。野菜や果物を購入する際に知りたい情報は、産地が91%、農法が81%と安心・安全への関心も高いことが伺える。一方、「環境にやさしい自然エネルギーの電気で作ったか」に対する関心は11%で、エネルギー問題に対する認知度の低さが浮き彫りになった。今回、「&グリーンライセンス(グリーンシール)付き農作物」を購入したことで、初めて問題を認識し、新たな選択基準を得た人も多かったのかもしれない。

自然からの恩恵で育まれている農産物。私たち人体にとって「安心・安全」であることはもちろんだが、地球にとっても安心・安全に育まれているものなのか。「環境に配慮した野菜かどうか」も、今後の農産物を選ぶうえで重要な基準になりそうだ。