送配電網の脱炭素化に向けて
時代はRE3.0へ

【RE3.0-再エネ3.0①】送配電網の脱炭素化に向け、次の段階へ

RE3.0

再エネ3.0とは何か

2050年のネットゼロエミッションの実現に向けて、電力供給においても再エネの一層の普及に努めていく必要があります。

これまでの政府の積極的な政策により、わが国においてもこの10年余りで再エネ比率が大幅に向上してきました。

私たち電力シェアリングでは、独自の考え方で、電力システムの脱炭素化は以下の4段階を経て進行し、それぞれごとに適切な政策・規制の導入が必要だと提唱しています。

今は2段階目の「再エネ2.0」「RE.2.0」から、地域によっては、「再エネ3.0」あるいは「RE.3.0」のステージにあり、各段階に対応した適切な策を講じていくべきだと考えています。

再エネ1.0ーRE.1.0

以下にその説明をいたします。まずは、第一段階の「再エネ1.0」あるいは「RE.1.0」です。

この段階では、再エネ発電は黎明期であり、どの時間帯でも再エネ導入がほとんどなされていない状況にあります。

そこで、政府の積極的な再エネ導入施策が必要になります。日本においてもFITなど供給側での導入喚起により、どの電源種でもどの時間帯でも再エネ化を進めてきました。

FITでは、各電源種毎に、導入コストに見合った、適正利潤を加えて売電価格をインセンティブとして付与できます。

従って、太陽光発電・風力・小水力・バイオマスといった、電源種毎の優遇差別化により多様化が可能です。またそのプレミアムにメリハリをつけることによって、電源種毎の導入管理が比較的管理しやすい段階とも言えるでしょう。

再エネ2.0ーRE.2.0

次のステージは再エネ2.0ーRE.2.0です。この段階では、FIT施策により、一定程度の再エネ化が進んでいる状況にあります。環境意識の高い大企業を始めとして、「実質再エネ100%」というルールの下で、需要側が刺激され、コーポレートPPAなどで自由に再エネ導入されていきます。

現在のわが国では、再エネ1.0を卒業し、再エネ2.0に移行、あるいは地域によっては、3.0に入りかけている段階といってよいでしょう。海外では、例えばカリフォルニア州では完全に再エネ3.0に突入したといってよいでしょう。この段階で、環境意識の高い企業や家庭が、自発的に、再エネ導入に取り組む機運が高まっているのは、とても好ましい状況です。

しかし一方で、無視のできない副作用が発生する懸念があります。それは、日本をはじめとする多くの国では、最も導入費用の低い太陽光に投資が集中し、時間帯別に、特に一日の間では昼夜間の炭素強度のアンバランスが拡大してしまうことです。

日中は再エネ100%化を達成するも、需給が緩んだ春や秋の週末には、せっかくの太陽光発電所の出力を停止する事態も頻発してきます。

一方で、こうした事態に対応するために、本来は退出すべき火力発電の役割が一時的ですが高まってしまうケースが多いです。一方で、新しい発電所の建設は難しいので、CO2排出も含めて、効率が相対的に低い火力発電所の、「アクセルとブレーキを頻繁に踏んだ過負荷運転を繰り返す」ことで、運転効率が低下し、その寿命をさらに短くすることにつながりかねません。

その間に、新しい再エネ安定電源が建設されることがしっかり保証されていればよいですが、電源の建設には何年も十何年もかかりますので、その時になってできなかったではすまされません。おそらく大丈夫だろうとは思いますが、100%大丈夫かと言われるとなかなか難しいところではないでしょうか。

再エネ3.0ーRE.3.0

そこで、この段階の問題点が浮き彫りになったら、速やかに再エネ3.0ーRE.3.0段階に移行する必要があります。

再エネの昼夜間格差の拡大により、時間毎の需給ギャップ調整が困難化していきます。

そうした中で、①電力システム安定、➁電力価格低廉化、③夜間脱炭素化のためには、電力消費の昼シフトと再エネ発電の夜シフトで需給の相互追従を喚起することで全時間再エネ化を展開することが求められていきます。

電力シェアリングの提唱する、各需要家の環境配慮行動を、各需要家毎にユニークな期間平均炭素強度を算定し、適切なインセンティブを付与することで、再エネ比率の高い昼間への需要のタイムシフトを喚起し、そのスコアの引き下げを図っていくことが効果的だと考えます。

一方で、プロシューマも含めた再エネ発電者の環境配慮行動を、各発電者毎にユニークな期間平均CO2排出回避度を算定し、適切なインセンティブを付与することで、再エネ比率の低い夜間への供給のタイムシフトを喚起し、そのスコアの引き揚げを図っていくことが効果的だと考えます。

再エネ4.0ーRE.4.0

再エネ3.0により、需給の相互追従を図りつつ、全ての需要家の、全時間帯での「リアル」再エネによる電力消費を喚起します。

「リアル」再エネの需要の高まりを受けて、供給側が蓄電池の導入や、夜間再エネ電源の開発によるタイムシフト・アクションをとることが期待されます。

このようにして、脱炭素電源の全時間帯での同時同量を達成を達成することが可能になります。

今後の政策・規制の在り方

いかがでしたでしょうか。送配電網の脱炭素化を達成するには、再エネ導入比率の増加に応じた、各段階ごとに政策・規制のアップデートを図っていく必要があります。

例えば、米国カリフォルニア州では、再エネ3.0に向けて、様々な施策を講じています。このサイトでは、こうした先行事例をたくさん紹介してまいります。